第4回(最終回): 徹底比較!AI活用型「図面・見積」サービスの3大類型と選び方 ~自社に最適な「解決策」はどれか?~積の「2つの理想」とその限界。そして解決策としての「第3の案」

1. はじめに:AIサービスなら、どれも同じではないか?
全3回にわたり、図面管理の課題、AIの技術、そしてAI見積の限界と「第3の道」について解説してきました。
最終回は、市販サービスの選定についてですが、ここで皆さんが同じような疑問を持ちます。
「AI類似図面検索のサービスは多いが、何が違うのか?」 「A社のサービスはなぜあんなに高額なのか?」
「AI検索」と言っても、そのAIが「何を」「どこまで」読み取るかによって、アプローチが大きく3つに分かれます。そして、それは導入コストと、第3回で解説した「解決策」にどう結びつくかに直結します。
2. AI活用サービスの「3大類型」:あなたの会社に必要なのはどれ?
導入後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためには、各類型の「得意なこと」と「コスト(金銭・手間)」のバランスを知ることが重要です。
類型1:高精度「詳細読み取り型」AI
- 概要: AIが図面に記載された文字情報(寸法、公差、材質、注記)のすべてを高精度で認識し、データベース化するタイプです。
- メリット(結果の精度): 検索精度が非常に高いのが特徴です。「公差±0.01以下」といった細かい技術条件での検索が可能です。
- デメリット(コストと限界):
- コストが高額: 高度に特化したAIが必要なため、初期・月額費用が数百万円〜になるケースが多いです。
- AIの限界: AIは「書かれていること」しか読めません。図面特有の「省略された対称形状」や「図示なき指示」までは補完できないため、結局は人間による対応工数が発生します。「高額な費用をかけたのに、完全自動にはならなかった」といった、費用をかけたのに効果を実感しにくいと感じる場合があります。
類型2:高速「画像・形状(ベクトル)型」AI
- 概要: AIが図面を「1枚の画像」として捉え、その全体的な形状やレイアウトを認識して、類似する「見た目」の図面を探し出すタイプです。
- メリット(コスト): 汎用的なAI技術を応用できるため、導入コストや月額費用を安価に抑えることができます。
- デメリット(精度の限界): あくまで「見た目(形状)」で探すため、細かい寸法や公差が違う図面も「似ている」と判断されます。この類型単体では「探して終わり」になりがちで、見積の属人化の解消まではカバーしきれません。
類型3:「精度とコストのバランス型」(第3の案)
- 概要: 類型1(高コスト・高精度だが限界あり)と、類型2(低コスト・高速だが範囲が狭い)の、「良いとこ取り」を目指したアプローチです。 「目的(工数削減)」を達成するために、「結果の精度(検索・見積)」と「コスト(利用費・導入工数)」のバランスの取れた、現実的な「第3の案」です。
- アプローチ:
- 検索: 類型1の「高度に特化したAI」を限定的に適用することでコストを抑え、類型2の「高速・低コストなAI」で、まずは「当たり(形状の類似品)」をつけます。
- 見積: AIを見積の「アシスタント」として使います。AIによる入力支援(第2回の寸法クリックなど)と、人間による標準化された見積作業を組み合わせることで、「類型1ほどの高コストをかけずに、高い業務精度を実現する」ことを目指します。
- こんな企業におすすめ: 「AIに夢のような全自動(高コスト)」を求めるのではなく、「投資対効果(ROI)を最大化し、作業効率化したい」と考える企業に最適です。
3. 「図面管理+α」を実現する GENKEI VAULT
当社の「GENKEI VAULT」は、この「類型3:バランス型(第3の案)」に該当するサービスです。
基本となる「図面管理」をベースにしつつ、その前後にある作業をスムーズにするための「+α」の機能を備えています。
- AI図面内容認識と見積書作成: 図面からAIが認識した情報(品名、材質、数量など)を使い、普段お使いのExcelやスプレッドシートの見積書を半自動的に作成します。
- 高精度な「原価計算」機能: AI検索した類似実績を参考にしつつ、第3回で解説した見積作業もシームレスに行え、見積のスピードと精度を両立させます。
- 案件管理(進捗管理)機能: 図面管理と紐づけて、引合い中・受注後の案件ステータスをすべて可視化することで、引合いの進捗が一目でわかるようになります。
「図面管理」を導入することで、それに関連する見積や案件管理といった業務も効率化していく。それがGENKEI VAULTのスタイルです。
4. シリーズまとめと、次の一歩
AI活用サービスの選定は、自社の使用目的や課題に対して、「精度」と「コスト」のバランスが合っているかで決まります。
- 高精度の検索が必要で、高額な予算と修正工数を許容できる → 【類型1】
- まずは低コストに「探す」ことだけを始めたい → 【類型2】
- コストを抑えつつ、図面管理に加えて見積などの作業工数も減らしたい → 【類型3】
GENKEI VAULTは、「類型3」に挙げた、図面管理から見積、案件管理までを導入しやすいコストで実現するサービスです。
本連載を通じて、AIが図面管理や見積業務にもたらす変革の可能性をお伝えしてきました。
貴社の現場における具体的な活用イメージや、現在の業務フローへの最適な導入方法については、個別相談にて詳しくご案内しております。
「自社の図面でどのような結果が出るか見てみたい」「まずは自社の課題を整理したい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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(完)
- この記事の技術監修
足立 昌彦(株式会社GENKEI 代表取締役) Google Developer Experts認定
本シリーズでは、その技術的知見に基づき、製造現場におけるAI活用の正確性と実用性を監修。
